美食の街、サンセバスチャン
スペインのサン・セバスチャンは、世界屈指の美食の街。
ミシュランの星つきレストランや、「食のアカデミー賞」と言われるThe World’s 50 Best Restaurants(世界のベストレストラン50)に選ばれた名店が密集。
決して大きくはない街ですが、ものすごい数のバルが集まり、各店が自慢の一品で街を盛り上げています。
「美食戦略」を日本の地域観光に活かすには?
サン・セバスチャンの「美食」による観光戦略は、地域創生のための優れたまちづくり戦略として世界中から評価されています。
日本でも同様で、地方自治体によるサン・セバスチャンへの現地視察が数多く行われ、「食」による「サン・セバスチャン化」で街づくりに取り組もうとしている自治体が10箇所を超えました。
しかし、「サン・セバスチャン化」は本当に地方創生の起爆剤になるのでしょうか。
私の研究では、サン・セバスチャンのこの美食戦略の本質的な部分を再考し、日本の地域にフィットする戦略とは何かを探っています。
サン・セバスチャンの取り組み
研究で調査した現地の取り組みの一部をご紹介します。
【美食戦略その1】世界のトップレストラン
ミシュラン 星の数合計16(三ツ星レストラン3店含む)
┗人口一人当たりの星の数世界一!
「ヌエバ・コッシーナ=新しい食(料理)」運動
新しい技法やレシピをお互い教え合う料理「オープンソース化」
旅などで探してきた世界中の食材や調理技法を取り入れる
科学技術を駆使した「分子料理法」
オープンソース化の最終型として街に4年生料理大学を設立することによる料理人の地位向上
毎年1万人以上が集う料理学会の開催
【美食戦略その2】庶民に根付くバル文化と美食倶楽部の伝統
バルごとの多様性と息づくオープンソース化
旧市街のフェルミン・カンベトン通りは路面飲食店集積地
バルのピンチョスは目の前のカウンターの料理を指差しで注文するノンバーバルで食事を楽しめるシステム
料理人ではない普通の市民である男たちのみで構成され、厨房施設に集い、料理を作り、研究することを楽しみ、飲み、語らう会員組織「美食倶楽部」という日常における伝統
【美食世界一の秘密】
バスクの伝統である共同体と家族や地域コミュニティへの帰属意識と絆と助け合いの精神による地域主義
地域循環経済を強く意識した地域密着の取り組みであると同時に、グローバルに魅力を発信
令和2年2月13日~20日 海外美術研修旅行スペイン(バスク・バルセロナ)にて、サン・セバスチャンを訪問(学生37名参加)
学会研究発表 第2回日本フードツーリズム学会研究発表大会 大阪府立大学
サン・セバスチャンの美食戦略 令和2年2月22日
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